Episode 1
もう10年以上前の話で恐縮ですが、まだ海外で銀行ATMでキャッシングがあまり普及していなかったころ、香港へあるまとまった額のお金を持って出張した時のことです。
アタッシュケースに現金を入れて香港セントラル地区にある銀行の小さな支店に預けに行きました。
そこは入口が狭く奥に長い京都の町屋の様な支店でした。カウンターで出入口に一番近い方の席に座って担当者が出てくるのを待っていました。
すると後ろで何かの気配がするので振り返ると中東系の外人が手の中のお金を数えているようなしぐさをしていました。その時銀行の担当者が中から出てきたので商談を始めましたが話は順調に進みその担当者が書類を取りに中の事務所に入って行きました。
私たち(全部で3人)は話が順調だったので少しホッとしたとき、後ろでチャリーンという音がしました。思わず振り返るとさっきの外人がコインを落としたようで探していました。私はコインが一つ隣の椅子の下に転がるが見えたので、「そこにもう一つありますよ」と言おうと思ったのですが英語でどう言うのだろうと考えていました。
その時、同行していた香港人スタッフの女性がキャーと叫びました。びっくりして入口の方を振り返ると私のアタッシュケースが持ち去れそうになっていました。
犯人はキャーと叫ばれたのでアタッシュケースを放して逃走したところでした。一旦持ち上げられて床に戻されたアタッシュケースの取っ手がまだぐらぐら揺れていました。
目撃した彼女は一番奥で少し斜めに座っていたので目撃できたのでした。本当に間一髪で難を逃れましたが、私は完全に罠にはまっていたということです。
この体験から得られる教訓。
現在ではATMでキャッシング等が普及しているので現金はなるべく持ち歩かない。
現金を持っている場合は必ず複数で行動する。できれば3人以上。
バッグは必ず自分の膝に上に乗せる。置く場合はカウンターの上に置く、また出入り口側に絶対に置かない。
犯行者は一人しかいないように見えても必ず複数で狙っている。
声をかけられたり、音がしたら持ち物に手をかけてから対応する。
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